スマートフォン対応輸送振動監視ロガー『TrecView』開発・販売開始のお知らせ
当社子会社の神栄テクノロジー株式会社（本社：神戸市中央区、代表取締役社長：小山文也、以下「神栄テクノロジー」といいます。）は、貨物の輸送中に生じる振動・温湿度の記録と管理をスマートフォンで簡単に行える、重電機器や精密機器など物流現場からの実際の声を仕様へ反映した新たな現場対応型の輸送振動監視ロガー『TrecView』とスマートフォン用アプリを開発し、2022年７月より販売を開始いたします。
開発の経緯と目的
神栄テクノロジーでは、重電機器（電力発電用大型変圧器、開閉器など）や精密機器の輸送中の振動監視を目的としたアナログ式振動記録計(FIRシリーズ)を1960年から製造販売してきました。
近年、デジタル化の要望が増えてきたことを受け、重電物流に関わる業界団体や物流企業様からのニーズを集約し、さまざまな現場での検証試験を重ねたことで、FIRシリーズと同じ出力特性を持ちながら小型化とコストダウンを図り、更には物流現場の実際の運用に沿った利便性を向上する、これまでにない新しい現場対応型のデジタル輸送振動監視ロガーを開発することができました。
輸送振動監視ロガー『TrecView』と専用アプリによる物流現場の課題解決
重電機器や精密機器など振動管理が必要な貨物を輸送する場合、従来のアナログ式振動記録計では、貨物が到着した時点で記録計の記録紙を目視で確認し、後日、手作業でレポートを作成する運用が一般的でした。また、近年はアナログ式に代わり電子式の振動記録計を用いられる場合が増えていますが、一般的にはデータの取り出しにパソコンが必要となることから、記録データの確認とレポート作成のために、記録計を管理部門等へ送付するような運用が行われており、アナログ式および電子式とも煩雑な手順や作業を必要としていました。
今回、神栄テクノロジーで開発した『TrecView』は、三軸加速度センサ、温湿度センサ、通信機能（Bluetooth®）を内蔵し、単四電池 2 本で駆動する、これまでに無い小型・軽量かつ省エネタイプのロガー（記録計）であり、各種設定や記録データの読取り、更には報告書の作成と電子メールによる送信まで、すべての操作をBluetooth経由でスマートフォンにより行えるしくみを構築しました。これにより、貨物が到着したその場で記録データの取り出しから報告書の送信までをスマートフォンの操作で数分以内に行うことを可能とし、管理に関わる業務効率を大きく改善します。また、レポートは改ざん不可であるPDF形式であり、記録としての信頼性を担保します。
輸送振動監視ロガー『TrecView』の仕様
『TrecView』は2つのモデルをラインナップしています。重電製品の輸送に特化した特性を持つFIR-302D（FIRシリーズと同等の特性）と、精密機器、医薬品、食品など重電製品以外の様々な製品の輸送の振動記録に適したFIR-302Wから用途に応じて選択できます。
| 型式 | FIR-302D | FIR-302W |
| 加速度計測範囲 | ±20G (3軸) | |
| サンプリングレート(周期） | 125Hz（8ms) | 1000Hz (1ms) |
| 温度 / 湿度計測範囲 | -20～60℃ / 0 ～ 99%rh | |
| データ記憶容量 | 加速度：16500(3軸で1データ) / 温湿度：5500 (温度＋湿度で1データ） | |
| 電池 | 単四電池×2 | |
| 計測日数 | 最大30日 | 最大18日 |
| サイズ / 重さ | 71(D) x 66(W) x 29(H) mm / 65g | |
| 専用アプリの対応OS | iOS 13 以上 ※Androidへも順次対応予定 | |
| オプション | 防水ケース、マグネット台座、校正サービス（証明書発行） | |
『TrecView』は、規定のサンプリングで常に振動を監視しており、記録周期（10秒～30分でアプリより設定可）のなかで、最も大きな加速度を、三軸それぞれで記録します。測定期間中は必ず連続的に加速度データが記録されることから、輸送時に危険な振動があった場合を確実に検知できるだけではなく、危険な振動が無く安全に輸送された場合も、それを客観的に証明することができます。
専用アプリで自動作成されたレポートの例を図に示します。作成されたレポートはメール機能により任意のメールアドレスに送信できます。一般的な従来の運用ではレポートの作成と提出にかなりの時間を要していましたが、本機能により大幅な時間削減を実現しました。
今回、『TrecView』と専用アプリは、さまざまなユーザ様のご協力とご支援により、長期間のフィールドテストと改善改良を重ねたうえで製品化に至り、貨物の振動管理に関わる作業工数と効率を大幅に改善することで物流現場のDX化へ貢献し、かつ、容易に導入できる製品としくみを構築することができました。神栄テクノロジーでは物流環境を可視化する物流用ロガーG-TAGシリーズ（温度ロガー、温湿度ロガー、衝撃ロガー）の拡大展開を図っており、今後も市場ニーズを捉えた製品化を進め、物流業界へ提案していくことで、物流品質向上へ貢献してまいります。
※『TrecView』の紹介ページはこちら （https://www.g-tag.jp/trecview/index.html）
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